それは、数値としての目標を持つことです。
言われてみればアタリマエのことです。FAQ運営に限らず、利益追求をしているほとんどの仕事で同じことが言えます。いやいや仕事以外でもアタリマエです。またこれもアタリマエですが「目標」は「数値」で持ちます。例えば、FAQの目的がコール数を減らすためなら「コールをNパーセント減らす」というNの部分が目標です。
こんなにアタリマエのことを敢えて書かなければいけないのは、目標もなくFAQ運営をしている会社がこの世に存在しているらしいと聞くからです。というか、そんな会社はたくさんあるようです。あなたの会社のFAQ運営はどうでしょうか?
ところで、よくカスタマーサポートやコンタクトセンターの責任者が「FAQで効果が出ないのだ」「ぜんぜんコールが減らないのだ」などと仰せられるのを耳にします。「効果」とは、何に対する何の効果でしょう。組織の責任者ならば「効果」とは「数値」のことを言われているのだと思います。なので、私は「目標値とそれに対する現状値を教えて下さい」と尋ねます。
しかし「FAQで効果が出ないのだ」「ぜんぜんコールが減らないのだ」は数値ではなく感覚的に仰られている場合が多いかもしれないと私は感じています。「なんかいつまでたってもコンタクトセンターが忙しい。FAQあるのに役に立ってないぞ」と。感覚的ですが当たらずとも遠からず。コンタクトセンターの有人対応はあいかわらずひっ迫しているようですから。でもFAQが効果を出ないというのなら、その「度合い」を数値で表したいですね。
目標を数値で持つということは、当然現状も数値で表すことです。
例えば、
目標値 FAQの影響でコールが70%削減されること。
現状値 FAQの影響でコールが 7%削減されている。
すると目標までやらないといけないことが、63%分もあるとわかります。
現状値はどの会社も高くないようです。とするとFAQ運営のまい進がなされていないということになります。まい進されてないということは、つまり目標値がないことを示しているのかもしれません。
「まい進」の具体例は、身近なところではコンタクトセンターの有人オペレーションです。こちらでは着信数、受電数、呼損率、トークタイム、ハンドリングタイム、アフターコールワークタイム、そして「ありがとう」と言われた数等の数値をすごく意識しています。そして数値が目標となるよう日々応対品質やトークスクリプトに対して組織的にも個人的にも推敲が繰り返されています。
このコンタクトセンターのまい進はFAQ運営でも見習うことができます。それどころかFAQ運営にとって目標値に向かってまい進することは、コンタクトセンターよりはるかに簡単です。数値は全て自動で取得でき、様々な分析の計算も自動でさせることもできます。FAQサイトはWebブラウザ上に搭載できるシステムだからです。またFAQの品質を推敲し、現状値を目標値に近づけることは指先だけでできます。FAQはほぼテキストだからです。
コンタクトセンターの有人オペレーションをどのように参考にするのか次回以降述べていきます。