正しいコンタクトリーズン分析ってどうやればいいんですか?

想定問答集と突き合わせてコンタクトリーズンを数えればいいのです。

それじゃコンタクトリーズン分析とは言えないジャン!
と、いま思ったことでしょう。

そう思った人は、コンタクトリーズン分析=とても大変=コストもかかる と考えているかもしれません。
それが理由で本格的なコンタクトリーズン分析に人員を割けない、あるいは溜まりに溜まった応対履歴の読解のためにプロジェクト化を模索していたり、予算取り段階だったり、いまだ足ふみしたりしている、なんて会社も多いのでは? 
コンタクトリーズン分析というからにはお客様のお仰せのことを一言一句拾い上げて、1,000人、10,000人のお客様の千差万別を抽出しなければならない、と概念を固定化していませんか。まるで朝9時の新宿駅に行って、そこにいる人たち全員のプロフィールを調べるような作業を想像していませんか?

それでは、改めて「ゴール思考」でコンタクトリーズン分析作業について定義しましょう。
コンタクトリーズン分析目的は次のどれですか?
1. お客様満足度を測るため
2. 市場調査をするため
3. FAQを作るため
・・ほかにも候補はあるかと思いますが、本連載のテーマでいくと、「3.FAQを作るため」です。

コンタクトリーズン分析で知りたい情報は次のどれですか?
1. オペレーターさんが正確な回答を返しているか
2. お客様とオペレーターさんが良い雰囲気でお話をしているか
3. お客様がどんな問い合わせをしているか
・・ほかにも候補あるかと思います。やはり本連載のテーマでいくと「3.どんな問い合わせをしているか」です。
コンタクトリーズンを直訳すると(コールセンターへの)接触の理由です。「理由」はお客様側からの接触理由。即ち「問い合せ」です。

上記の定義から、FAQがテーマのコンタクトリーズン分析作業とは『お客様からの問い合わせを分析し、多いものからFAQコンテンツにしていく』となります。
逆にいうと、そ・れ・だ・け、なのです。
このように一度冷静になって、コンタクトリーズン分析は一体何のため? と考えて逆算思考をすると、大変でもなくコストもかからない「要領のいい」方法が分かります。

要領のいい方法として、「想定問答集」を使うことが挙げられます。実はこの方法はすでに多くの会社で行われています。
たとえば、お客様からのお問い合わせを「契約関係」「支払い関係」「注文関係」「クレーム関係」「各種変更」・・といった大枠に分類していく作業です。これは、立派な想定問答方式です。問い合わせが来る前から、ある程度想定される問い合わせの分類枠を決めておくわけですから。
しかし、大枠では大雑把すぎて(失礼・・)、FAQを作れませんね。『お客様からの問い合わせを分析し、多いものからFAQコンテンツにしていく』には片手落ちです。では、どうするの?

想定問答なら、想定問答らしく、大雑把ではなくもう少し具体的にしておきましょう。
たとえば「契約関係」なら、「契約に必要な書類と費用はなに?」 とか、「契約の申込書を取り寄せるにはどうすればいいの?」 とかです。
たとえば「支払い関係」なら、「支払い時に消費税は加算されるの?」 とか、「支払いをしたら、支払い証明書がほしいんだけどもらえる?」とかです。
そういった、問い合わせされるような内容を具体的な表現で事前に準備しておいて、実際のコールセンターのお客様との問い合わせの際にお問い合わせ内容と突き合わせながら、お問い合わせの数をカウントしていくのです。

えっそれなら、コールセンターのオペレーターがFAQやナレッジを使っているからいますぐにできるヤン、と思ったでしょう。その通りです!
コールセンターへの実際のお問い合わせとコールセンターのオペレーターが使っているFAQやナレッジと突き合わせして、ヒットしたものをコンタクトリーズンとしてカウントすればいいのです。
お客様のお問い合わせがオペレーター用のFAQや想定問答にヒットしない場合もあるでしょう。その場合は、ACWで記録するしかありません。またFAQや想定問答集と突き合わせてもほとんどヒットしないということなら、コールセンターで使っているFAQやナレッジはほとんど役に立っていないということになり、すぐに見直しが必要です。それ以前にオペレーター用FAQやナレッジがまだ整備されていなければ、すくなくとも想定問答の「問」集だけでも早めに作ってあげてください。

このようにしてコールリーズンと想定問答でヒットしたカウントデータが溜まってきたら、カウントの多いものから順にFAQコンテンツにしていけます。間違ってもコールリーズン全てをFAQにしようとは考えないでください。FAQにするものは特に多いコールリーズンだけで十分なのです。

最近は、オペレーターさんの応対履歴を生成AIに要約してもらい、分析するというコンタクトリーズン分析の手法に予算を投じている話を伺います。それは市場調査やオペレーターさん自身の業務分析ならありかと思います。
でもFAQを作るためなら、すでに投資済みのオペレーターさん用のFAQやナレッジを活用しない手はないのです。このコンタクトリーズン分析方法について、概要はこんな感じですが、つかめましたか。もっと具体的に知りたいと思われる方々のためにつづきは別の回で書きます。

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