問題を解決できるFAQとは具体的にどういったもの? (その3)

探していたものに間違いないと思わせるQ(質問文)とそれにまっすぐに応えるA(回答文)のペアです。

問題を解決できるFAQについて、過去2回にわたりQとAそれぞれで簡単に説明しました。
ただし超基本的なことです。これらをもって「FAQの書き方はまかせておけ」と言える人はまだいないでしょう。だからもう少し続けたいと思います。

前回の話の最後で、「FAQを算数で考えます」「左辺と右辺を等しくなるように」などと書いたことが、気になってる人もいるのではないでしょうか。作文は算数ではないので概念的なことです。

例文で説明します。
Q:日本で一番標高の高い山の名前は?
A:富士山
Qを左辺、Aを右辺と考えます。すると左辺=右辺とすることができます。
日本で一番標高の高い山の名前は = 富士山

ところが、Qを少し変えるだけで 左辺=右辺 とはいえなくなります。
一番標高の高い山の名前は ≒ 富士山
ですよね。理由はすぐにわかると思いますが、
このQ(左辺)だとA(右辺)が、富士山でよければ、エベレストやマッキンリーでも良いことになります。

同様に、
アメリカの大統領は ≒ トランプ
アメリカ合衆国の第47代大統領の苗字は = トランプ
という式になります。

なぜ前者が「≒」で後者が「=」かは、このように見比べると気づきやすいですね。
つまり、算数式に「=」にするためには、Qの構文で条件としての情報が網羅されていることが必要なのです。
明快です。

ところが多くの会社のFAQには、左辺と右辺(QとA)が「≒」となっているものが枚挙にいとまがありません。特に悪いFAQの例
Q:ログインができなくなりました。
A:パスワードを忘れた場合は・・(略)

先ほどの高い山や大統領のQ&Aと照らし合わせると何がダメなのか、解説しなくてもわかります。
「ログインができないのは、パスワードを忘れたせいだ」と決めつけている点も悪いです。ログインサイトやIDを忘れてログインできない人にとっては、Q≠Aです。つまり「役に立たない!」となります。

このようなQ≒Aの例もあります。Aが場合分けされているので算数にもなりません。
Q:カードを紛失しました。どうしたらいいのでしょうか。
A:カードによって対応が異なります。
赤いカードの再発行は・・・(略)
青いカードの再発行は・・・(略)

では、これらを「=」になるようにリライトしてみます。
Q:マイページのログインパスワードの再発行手順は?
A:マイページのログインパスワードの再発行手順は次の通りです。(略)
Q:赤いカード紛失後の再発行手順は?
A:赤いカード紛失後の再発行手順は次のとおりです・・・(略)
Q:青いカード紛失後の再発行手順は?
A:青いカード紛失後の再発行手順は次のとおりです・・・(略)

いかがでしょうか。即席ですがQとAをオウム返しにしただけで「=」になりました。しかもAはQにまっすぐに応える形にできます。
このように、Q(左辺)とA(右辺)を「=」にするのは、FAQの絶対基本です。

上記は、もとのFAQのAを尊重してリライトしました。
元のQを尊重すると次のようなFAQも準備できます。
Q:カードを外出先で紛失。最初に行うべき対処は?
A:(1)停止手続きをする 電話番号000-000-000
(2)必要に応じ警察などに紛失届け

さて、なぜ左辺と右辺が「≒」になってしまうようなFAQが掲載されるのでしょうか。
それは、「書く側と読む側では思考が違う」ということにFAQを書く側が注意を払っていないからです。
そういった場合たいていはQが言葉足らずです。「読み手がこちらの意図を補ってくれるだろう・・」と、書く側が勝手に言葉を省略してしまうのです。

このようにFAQの基本として、QとAを左辺=右辺で考える習慣をつけておかないと、せっかく検索出来たFAQが「役に立たない」FAQとなります。ライティングについては次回以降も続きます。

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