探していたものに間違いないと思わせるQ(質問文)とそれにまっすぐに応えるA(回答文)のペアです。
前回は、主にQについて解説しました。
「探していたものに間違いないと思わせるQ」を書くには、
人の「読む」というプロセスを理解しなければならないというお話でした。
テーマがFAQ以外の場合でも、人に効果的にサービスを提供したいのであれば人が何かをするプロセスを理解することは全ての基本です。
それを最近のトレンドワードではUX(User Experience)と言います。さらにUXを設計するという活動になればUXD(Design)になります。
つまり良いFAQとはたんなる文字列ではなく、UXDされた作文なのです。
さて、今回はQにまっすぐに応えるA(回答文)についてです。
Aの作文は、Qの作文とは観点がちがいます。
Qは、検索して、選んでもらって、信頼させてタップしてもらう・・のようなプロセスを考える必要がありましたが、
Aの場合は、最後まで読んでもらって、理解してもらうためのプロセスを考えます。
Qが決まれば、Aが決まるので、あとは読んで理解してもらう文のデザインを考えるのです。
「まっすぐ応える」とは、別の言葉で言うと、素直に応える、率直に応える、忌憚なく応える、ずばり応える・・ですが、どうもわかりにくいですね。
例を示します。
Q:一番高い山は?
A:富士山
Q:日本では18歳でお酒を飲むことはできますか?
A:できません
Q:アメリカ合衆国の大統領は?
A:トランプ
こういうことです。
これ以上のまっすぐな答えはありません。必要最小限の文字数で非常に端的でもあります。
いっぽうで次のように書くこともできます。
Q:日本では18歳でお酒を飲むことはできますか?
A:「20歳未満の者の飲酒の禁止に関する法律」によって定められています。この法律では、未成年者の飲酒だけでなく、販売業者による未成年者への酒類提供も禁止されており、違反した場合、罰金が科せられることがあります。日本では20歳未満の飲酒が法律で禁止されています。
回答だけを読むとまっとうです。間違いもつけ入るすきもありません。
しかし、Qにまっすぐに応えているかというと、ダメダメです。
理由は次のとおり。
・Qで「できますか」と尋ねているのに、一切答えていない。
・QとAで言葉遣いや表現が違う。
・最後まで読み「自己解釈」しないといけない。そもそも説明が冗長で面倒くさい。
など、FAQとして落第点がたくさん見つかるからです。
Qをもう一度読んでください。尋ねていることは何ですか?
「お酒を飲むことはできますか?」それだけです。
だから答えは、「できません」
のみで良いはずです。
もしよくあるお問合せとして
「18才でお酒を飲むことはできますか?」がとても多く、
答えとして「できません」で、ほぼ“終話”できるのであれば、FAQとしてはそれだけでいいのです。
それ以外の情報は、補足情報ではありますが、なくても問題解決には影響しません。
まして上記のように補足情報の方が多く、しかも読解(解釈)しなければならないようだと、無駄な時間や誤解のもとを作っているだけです。
Qにまっすぐに応える文としてのAとはなにか、伝わったでしょうか。
ただし、上の例文では少し落とし穴があります。気付かれたでしょうか。
Q:日本では18歳でお酒を飲むことはできますか?
という質問文自体が、あと一歩なのです。
これだと、A:できます。
でも良いかもしれません。実際に肉体的にはお酒を飲むことは「できます」だからです。
したがって、Qにも手を加える必要があるでしょう。
Q:日本の法律では18歳でお酒を飲むことはできますか?
A:できません。
このようにすると完璧です。ほかのQ&Aも同様です。
Q:日本列島で一番標高の高い山は?
A:富士山
Q:2024年に当選したアメリカ合衆国の大統領の苗字は?
A:トランプ
このように全くつけいる隙のないQとAになりました。
FAQで高い解決率を目指すには、これぐらいQとAの文をロジカルに「デザイン」しておく必要があります。
余談ですが私はFAQを「算数」で考えます。つまり左辺と右辺を同等にすること。
つきつめれば、解決率100%も可能になるでしょう。
FAQのUXDに関しては次の回にも続けます。(つづく)