お客様向けサイトで、FAQは何件あればいいか?

少なければ少ないほど良いです。

何件とはっきり言えないのは、その会社のお問い合わせ状況、FAQの運営目的に、そして製品やサービスによるからです。
ただし、少なければ少ないほど良い(0に近づくほど良い)というのは、自信をもって言えます。

理由1 少ないということはお客様からのお問い合わせ(売り上げにつながるものは別)も少ないということだから。
大量にFAQがあると、「困っている客がこんなに多いの?!」 と不安を煽っているかもしれません。
理由2 お客様が求めるFAQを探しやすくなるから。
これは想像に難くないですよね。百貨店で鉛筆を探すのとコンビニで鉛筆をさがすのとどちらが楽ですか?大量にFAQがあると、実はお客様に「探し出すという苦労」を強いているのです。
理由3 運営も楽だから。
FAQのメンテナンスって大変ですよね。なんなら放置されていますよね。それはなぜですか?大量にFAQがあるからです。

多くの会社ではFAQサイトやカスタマーサイトに何百、何千という大量のFAQを備えています。それは、「ひとりでも多くのお客様が困りごとを解決できるように」というシンプル&親切な発想からです。またその発想からさらにFAQを追加し続けることが運用となっています。いっぽうで分析したりメンテナンスしたりして定期的な「棚卸」はあまりなされていないようです。中には放置に近いFAQサイトもあるようです。

FAQサイトにはますますFAQが増える。
お客様の解決率は低いしコールセンターに流れる。
が多くの場合現状のようです。

では、具体的にどれくらいのFAQ数がいいのかすこし深掘りしてみましょう。
『1000件のFAQがあるが自己解決率は30%のサイト』と、『100件しかFAQはないが自己解決率は100%のサイト』を比べて、どちらが魅力的でしょうか。
もちろん後者です。前者は感覚的にでも非効率で運営がイケてないのだなと誰でも思います。後者はすばらしく歩留まりの良い運営で、理想的だと誰でも思います。

感情的な反論もあるでしょう。「たった100件しかFAQがなかったら、残りの900件が必要なお客様はどうすればいいのだ!」
それへのお応えは、「どうぞ、速やかにコールセンターへ!」です。
もっとも、残り900件のFAQが必要なお客様は少数派です。グラフ的にいうとロングテールな部分のお客様。逆に100件を必要としているお客さまがグラフのピーク部分を占めていたりします。

つまり「お客様からのお問い合わせのピーク部分とロングテール部分で対応を分担するのだ!」と発想を転換するのです。例えば、
FAQでピークの80% を担当
コールセンターでロングテールの20% を担当
100件だけのFAQでも、それらを必要としているお客様の割合がお問い合わせ全体の80%、残りの900件を必要としているお客様は全体の20%程度だったら、その役割分担スキームが合理的なのです。

これはタラレバ論ではありません。ほとんどの会社の場合上記の役割分担は実践でき、その割合も上記と似たり寄ったりになることが分かっています。
ただ役割分担を実現するためには、質を追求しなければいけません。何の質か、それは前回ここで書いたコンタクトリーズン分析の質です。上記の、まずは「FAQで80%」でさらに「解決率100%」がもし実現できたらお客様、企業両方ともに素晴らしい世界です。
問い合わせ全部のうち80%のパターンは何か? をまず徹底的に見極めるのです。そのためには上質なコンタクトリーズン分析しかありません。

多くの会社の場合、お客様からのお問い合わせ全部のうち80%は100~200件のFAQだけでカバーできます。(コール数が少ないところはもっと少ないFAQ数で良いです)

本当にそんなに少ないFAQ数でいいのか、と思ったでしょう。
本当にそうなのか、確かめるためにもぜひぜひ綿密なコンタクトリーズン分析をしてください。
コンタクトリーズン分析については、次回以降書いていきますが、ヒントはコンタクトリーズンとは、お問い合わせの傾向分析やジャンル、カテゴリ分析、お客様の満足度の分析ではないということです。

FAQ数、コールリーズン分析のテーマはディスカッションも多いテーマです。別の回で続編を必ず書きます。また本連載ブログにぜひコメント、ご質問をお待ちしております。

尚、役割分担をより強固にするために、公開FAQサイトの認知や導線(SEO含め)強化、UXデザインも必須です。これらについてもつづく連載で必ず説明します。

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